【元町・中華街】日本郵船氷川丸で海と歴史と感じるツアー

みなとみらい線「元町・中華街」駅から徒歩3分。山下公園前にある船といえば、氷川丸。

横浜市民なら一度は訪れたことがある場所であり、横浜観光に来たら外せないスポットではないでしょうか。

国の重要文化財にも指定される氷川丸は、船好きな方も歴史が好きな方も、世界遺産や重要文化財が好きな方にもおすすめのスポット。大人だけでなく、お子さんの社会見学にも最適です。

今回は長きに渡って横浜の象徴として君臨する、日本郵船氷川丸を紹介していきます!

海に浮かぶ重要文化財、氷川丸に行ってみた

中区民になって早5年。生まれも育ちも横浜の私ですが、最後に氷川丸に入ったのはウン十年前。

2016年に海上で保存されている船舶では、初めて国の重要文化財に指定されています。そんな歴史的な船が近くにあったとは!

現船長である大内孝利船長ガイドのもと、氷川丸を1周してみました。

大内船長、さわやかな白の制服が青い空に映え、海の男って感じです。氷川丸、そして船について、とても丁寧に解説していただきました。

受付を通過するとホールがあります。本来だと映像で氷川丸の歴史を紹介していますが、現在コロナウイルス感染症対策のため、放映は停止。ダークブラウンの木目の床がシックな内装です。

廊下を抜けると一等食堂です。一等船室に乗船の方のための食堂で、食堂の前には一等児童室があります。

こちらは託児所的な役割だったとのこと。

船の中で接客を担当する人を「スチュワーデス」と呼んだそう。のちに飛行機の機内サービスをするCAさんのこともそう呼ぶようになりましたが、もともとは船内の接客サービスをする人のことが語源だったと大内船長。勉強になります。

続いて一等食堂へ。

内装デザインはフランスのマルク・シモンが設計。アール・デコの装飾です。

食堂で使われている柱や壁の木は本物の木。今の船とは違い、リアルな木を使っています。昭和モダンを感じますね。

氷川丸は、船の中心から床に傾斜があります。中心から左右には、約40センチの差があるとのこと。波の水はけを良くするように作られていて、よく見ると家具やドアもこの傾斜に合わせて傾いて作られています。(現在の客船の床は水平になっているとのことです。)

一等特別室を利用されたのは、昭和天皇の弟君でもある秩父宮様、柔道の父・嘉納治五郎氏、俳優のチャールズ・チャップリンなどのセレブ層。中でも嘉納治五郎氏は、氷川丸で日本に帰国する途中、洋上で亡くなられたそうです。そんな話を聞くと、歴史ある船であることがよくわかりますよね。

一等食堂のテーブルは、秩父宮様が乗船されたときの晩餐を再現しています。音楽や食器のあたる音も聞こえて、当時の様子が目に浮かびます。

一等船室エリアをめぐる!船旅の楽しみは食事?

氷川丸のAデッキ、1等船室エリアへ進みます。階段もセレブ感に溢れたゴージャスな造り。氷川丸の中でもフォトジェニックなエリアのひとつです。

一等読書室を抜けると一等社交室。

船の先頭部に位置する第一社交室は、主にご婦人たちのための社交場として活用されていました。ダンスパーティーの会場にも使われていたそう。こちらも一等食堂と同じく、アール・デコ調のインテリアが優雅さを感じさせますね。

現在はコロナウイルス感染症対策のため、見学だけとなっていますが、本来はイスに座ることも可能とのこと。今回は大内船長の計らいで、一瞬座らせていただきました。

想像以上にイスがフカフカで、びっくり。

シアトルまで長い航路。今のように娯楽がなかった時代、この部屋でダンスや音楽などを楽しんでいたんですね。

続いて、船尾部へ移動する途中のホールへ。先ほど昇ってきた階段付近には郵便局があったそう。受付とポストがあります。長い旅だと仕事の用事だけなく、手紙が書きたくなる気持ちは、今も昔も変わらないものなんだというのがわかります。

中央階段を縁取るこちらの手すりには、氷川丸の名前の由来でもある大宮氷川神社の神紋「八雲」が描かれています。

氷川丸が竣工した1930年頃、姉妹船として日枝丸と平安丸の2隻の船が造船されていました。他の姉妹船にはこういったモチーフはなく、戦時中に攻撃を受け沈没しています。

氷川丸には神紋が描かれていたから、3回機雷に当たっても沈まず、1960年に引退するまで、船としての役目を果たせたのでは?とも言われているのだそうです。

もちろん、製造時の技術者が最も頑丈と考えられる材料を選択しているでしょう。また戦時中に氷川丸が病院船として活躍していた頃も、当時の船長や病院長が国際法を守り抜き、最後まで兵器を載せなかったなど、戦火を避けられた要因はいくつかあったことでしょう。

「この神紋のモチーフも含めて氷川丸自体が幸運の船なので、氷川丸のどこかしらに触っておくといいことがありますよ」と大内船長。

このモチーフにそんな秘密があったとは。ありがたく氷川丸にちょんと触れておきました。

貨客船としてシアトル航路を往復していたころの資料が展示されている展示室を抜けると、一等喫煙室です。

主に男性たちの社交場として、使われていた部屋です。

天井から光が入る上質なサロン感が出ていますよね。天井には空気孔があり、タバコの煙が抜けるように設計されています。何と言っても天窓から入る光が心地よく、天気のよい日は室内でも気持ちよくすごせそうです。

一等客室の部屋の様子です。

当時から毛布を飾るおもてなしがあったとのこと。100年近く前からこういった習慣があったのが、驚きです。昔の人の体が、今よりも小さかったこともあり、部屋もコンパクトですね。

今ではシアトルまで飛行機で行けば、半日程度で行けますが、氷川丸竣工時は船しかありませんでした。

当時の乗客の楽しみは食事。氷川丸はフランスから一流の料理人が招集され、お料理が提供されていたそう。そういったこともあって、お料理も評判を呼び、食事目当てに予約していた船をキャンセルして、氷川丸に乗りたがるお客様もいたのだとか。

大内船長も長きに渡って航海される際は、食材として一番大事なお米を乗組員全員の為に必ず確保するべく、寄港地先でもおいしいお米があれば買っていたとおっしゃっているほど、食事が重要であることが伺えます。

意外だったのは、氷川丸のなかで「もやし」が作られていたこと。長い航路で、食材の確保は大事な問題ですよね。

食材確保も兼ねて、もやしを作ろうという発想自体がすごいなと感心するばかりです。

天気のよい日は気持ちいい~!デッキ開放日もある

氷川丸の操舵室です。航海士が24時間体制で勤務。ここには神棚がありました。大内船長が毎年大宮氷川神社に行き、お札をいただいているのだそう。

舵や見慣れない計器がたくさんあります。

操舵室からは天気がいいとこんな風景が見られますよ。

操舵室とのすぐ下にあるのが、船長室。船長のお仕事は24時間体制なので、何かあればすぐに操舵室に行けるように階段でつながっています。

船長室の机から不自然に出るこのチューブはボイスチューブと言います。操舵室とつながっていて、いつでも話ができるようになっているとのこと。糸電話が本格的になった感じでしょうか。

船長はどんな時でも、連絡や報告を受けられるよう、こういったツールも使っていたそうです。

氷川丸船内ツアーも大詰め。いよいよ氷川丸の心臓部とも言える機関室です。現在はコロナウィルス感染症対策として、一部公開となっていますが、本来は公開されているエリアです。今回特別に入れていただきました。

船の底に向かって階段を降りていきます。

大内船長が、エンジンについて解説してくださっています。こうやって見ると、90年以上前に造られたものとは思えない感じです。ちょっとしたSF映画に出てきそうな世界観ですね。

エンジンは、デンマーク製が採用されているとのこと。氷川丸は日本で造船されましたが、当時はまだ製鉄やエンジンを作る技術が先進国と比べると後れをとっていたため、材料は輸入されていたそうです。

機関室は、氷川丸が運航していた頃のまま残されています。こういった点も産業遺産として、評価されているんですね。

船内を1周回って、案内していただいた大内船長とお別れし、デッキに出てみました。ベンチが並んでいるだけで、停泊しているにもかかわらず旅情を誘います。この日はお天気もよく、デッキのベンチに座ると波の音が聴こえて、気持ちがよかったです。

ベンチからみなとみらいが遠くに見えます。ここでは飲食は飲み物ならOK。船内は階段の昇り降りが多いので、一休みにはこのデッキが最適です。

土日祝日はオープンデッキも開放されています。さらにビュースポットが増え、写真もバシバシ撮れそうですね。

1960年に貨客船から引退し、翌年山下公園にやってきた氷川丸。それから半世紀以上に渡り、変わりゆく横浜を見守ってきました。

山下公園前に係留されてから氷川丸は、ユースホステルとして開業。その後、観光船として水族館やレストラン、ビアガーデンなどの事業を展開し時代と共に変化してきました。2008年に日本郵船氷川丸としてリニューアルオープンし、歴史を伝える重要文化財としての役目を果たしています。

横浜を象徴する氷川丸。乗船すると歴史が学べ、普段は見られない海の上からのステキな風景が見られますよ。

山下公園に行かれた際は、ぜひ、行ってみてくださいね。

日本郵船氷川丸
住所:神奈川県横浜市中区山下町 山下公園地先
アクセス:みなとみらい線「元町・中華街」駅4番出口徒歩3分
JR根岸線・京浜東北線「石川町」駅、「関内」駅から徒歩15分
市営バス「中華街入口」下車徒歩3分
TEL:045-641-4362
営業時間:10:00 ~ 17:00 (入館は16:30まで)
定休日:月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)
入館料:一般 300円/シニア(65歳以上) 200円/小中学生 100円
障がい者を対象とした手帳および特定疾患医療受給者証をご提示の方は無料
(介護車1名含む)
※新型コロナウイルス感染拡大等により営業時間等が記載と異なる場合があります。訪問時は事前にHP等でご確認ください。