みなさんは地元の神社に足を運ぶ機会はありますか?節分や夏祭り、年末年始くらいしか足を運ばないという方も多いのではないでしょうか?
実は、そんな神社を新たな交流の場にしよう!と、ある神社がおもしろい取り組みをスタートしました。参加者みんなが笑顔になっちゃうステキな企画!
今回は神奈川区にある六角橋杉山大神の「松ぼっくり苔玉教室」について、ご紹介します!
街の掲示板は侮れない!
私がこの取り組みを知ったのは、街でよく見かける昔ながらの「掲示板」。
掲示板は見ないという方も少なくないかもしれませんが、意外といい情報が載っていたりするもの…。たまにはチェックしてみてくださいね♪
もともと苔玉に興味があった私…。
「松ぼっくりの苔玉って何!?参加費1000円でいいの!?」と俄然興味をそそられます。そして、掲示板のチラシを見るなり、即申し込み (笑)。
「へぇ、開催場所が六角橋杉山大神?斬新だなぁ」そんな軽い気持ちで申し込み、当日を迎えます。
神社でワークショップ!?
六角橋杉山大神は氏子総代会を中心に、地域の方の手で代々守られている、六角橋全町の氏神神社。
特に9月の第2土・日曜日におこなわれる夏祭り、2月の節分祭が有名。その時期になると、地元の子どもたちがこぞって集まり、とってにぎわう神社なんです。
六角橋杉山大神の歴史は古く、なんとヤマトタケルに由来するとか。境内には、その歴史を物語るように、樹齢200年を超えるケヤキが悠然と私たちを見下ろしています。
ワークショップの開催場所は、神社本殿の横。年代も性別もバラバラ…いろんな世代の方が約20人ほど参加していました。
こちらが、今回松ぼっくり苔玉を教えてくださった「石井造園」代表取締役の石井さん(右)と社長付の中村さん(左)。写真からもお人柄の良さがあふれちゃっていますよね。
石井造園は公園や学校などの環境整備、個人宅の庭づくりなどを手掛ける、横浜市栄区にある老舗の造園会社。
「企業活動を通して幸せを共有する企業を目指す」という理念のもと、「地域のためにできること」に着目し、社会貢献や地域活性化に力を入れている会社なんです!
その素晴らしい取り組みの1つ1つが評価され、国内外でさまざまな賞を受賞!
日本からも世界からも注目される、横浜が誇る「地域貢献企業」なんです。
そして、なんと、この松ぼっくり苔玉は石井造園さんのオリジナル♪他ではなかなか体験できない苔玉作りだったんです。
松ぼっくり苔玉の作り方をご紹介!
では、体験してきた「松ぼっくり苔玉」の作り方をご紹介していきます♪
①水苔を松ぼっくりにつめる
こちらが今回使用する松ぼっくり。大きいですよね!?「大王松」という松の仲間で、世界1長い葉をつけることから「大王」と呼ばれているそうです。
その大きくてかわいらしい姿から、クリスマスの時期になると、この松ぼっくりでクリスマスツリーを作る人もいるらしいですよ。
まずは、この松ぼっくりに水苔をつめていきます!もうひたすら、ギュウギュウつめていきます(笑)
「この作業を始めると、みなさん集中して無言になっちゃうんですよね~」と石井社長。
「松ぼっくりは雨が降ると、松かさを閉じようとする性質があるんです。おっ!ご存じの方がいらっしゃる!さすが年の功…!なんて言っちゃいけませんね~」と笑いを誘いつつ、教室の雰囲気を和やかにしてくださいます♪
その後も雰囲気づくりを大切に、参加者の様子をあたたかく見守ってくださる石井社長。
「せっかくのご縁だから、みなさんと楽しい会にしたい」そんな社長の心意気を感じます。
ちなみに、松ぼっくりが水分を感じるとかさを閉じようとするのは、中に入っている種を守るためだそう。
雨が降ると、種を遠くまで飛ばすことができませんよね?だからかさを閉じて種を守り、晴れた日にかさを開き、種を飛ばして子孫を残していくんだそうです。
実際の植物に触れながら、植物の不思議な生体についてお話が聞けるので、とても興味深い!知識と経験がリンクするので、とってもいい「体験」になる!~そう感じました。
②苔玉に植える草木の位置を決める
水苔を松ぼっくりのてっぺんまでつめたら、次は挿木の位置を決めます。これがなかなか難しい!なんせ、センスが問われる作業なので(笑)。
みなさん「あ~でもない、こ~でもない」と言いながら、ベストポジションを見定めます。
「あら~、ステキ!!」「バンザイしてるみたいになっちゃった!」「俺のは上手くいかないなぁ」など、所々でさまざまなコミュニケーションが生まれます。
さっきまで知らない人同士だったのに、あっという間に距離が縮まり、気がつくと教室に一体感が!
「みんなで一緒に何かを作るっていいなぁ」率直にそう思いました。
③苔を植える
最後は苔を植える工程。
下から上へ、松ぼっくりのかさに挟みこうように、優しく重ならないように苔を植えていきます。
苔の緑が入ると初心者が作っても「それっぽく」見えるもの(笑)。楽しみつつ、集中したので、あっという間の1時間30分!
「あ~!いいですね!三渓園みたいですよ!」「おっ!こちらはラピュタですか!」などできあがった作品を見ては、石井社長が褒めてくださり、みなさんとってもうれしそう♪
個性豊かで唯一無二…自分だけの苔玉ができあがりました!既製品の苔玉を買うより愛着もわくし、ステキですよね!?
最後に木のお皿に鎮座させ、完成~!!おぉっ!立派にできてる(笑)。
こちらのお皿は、なんと、この教室を企画した杉山大神氏子総代会の会長・森さんの手作り!この日のために、会長自ら木を切り、作ってくださったそうなんです。
普通の陶器のお皿にのせるより趣があってステキですよね!いい作品になったとみなさん、ご満悦でした♪
ちなみに、苔のお世話は、少しお日様に当ててつつ、1日おきに霧吹きで水をあげ、1週間に1回苔玉自体を水に沈めて水気を取り戻させてあげるだけでOK!
うまく育てれば、葉が紅葉したり、お花が咲くこともあるそう。四季折々の顔が見られるのも楽しいですよね。
④最後の仕上げは…!
「では、みなさん!完成した作品に名前をつけて、自己紹介と共に発表してもらいますよ~」と石井社長。
1人1人、名前と住んでいる地域、完成した苔玉の名前や工夫した点などを思い思いに発表し、交流をはかります。
みなさん少し照れくさそうでしたが、発表する方もそれを聴く方も全員笑顔!とてもいい教室になったことがよく分かります。
教室が終わる頃には、すっかりみなさん打ち解け「次もやってくださいよ!」「絶対参加しますよ!」と早くも次の教室のリクエストの声が、参加者サイドから上がっていました。
どれだけ楽しかったのか、伝わっちゃいますよね?
かくいう私も「また参加したいな、今度は子どもも一緒に参加したいなぁ…」と。それくらい、いい体験になったということ!
「じゃあ、次は春くらいに盆栽教室をやりましょうか!」と森会長と石井社長。
すると「わーい!」「楽しみね!」「また声かけるわね!」と喜びの声が飛び交います。
ものづくりを通して、新たなコミュニケーションが生まれていく…とってもいい企画だな、参加してよかった!心からそう思いました。
そして、持ち帰ってきた苔玉を見た家族は、「売り物じゃん!」と大絶賛!こんなにきちんとしたものができるとは思っていなかったみたいで、興味津々!「やってみたいなー!」と声が上がっていました。
苔玉教室に参加して感じたこと
参加してみて、特に印象的だったのが「参加者の笑顔」。みなさん、とにかく楽しそう♪ものづくりを通して、コミュニケーションが生まれると、こんなにも明るく元気になれるんだなぁと実感しました。
わずか2時間ほどでしたが、一緒に作業をしながらみんなで和気あいあいと過ごしたことにより、普段は交流のない年代の方と「横のつながり」がうまれた…そんな気がします。
「私、お花の活動してるから、もしよかったら来てくださいね」
「今度、苔の成長報告をしましょうね」
「次の盆栽教室も一緒にやりましょう!」など…。
さまざまな新しいコミュニティがうまれているのを目にすることができました。
苔玉教室だけど、苔玉教室にとどまらない…。
苔玉教室を「拠り所」にして、地域の活動を知ることができたり、普段接点を持たない世代とコミュニケーションが図れたり。
自然と地域の輪が広がっていく…そんなところも、この企画の醍醐味なのかもしれませんね。
神社で開催した理由~地域の手で街を守っていきたい
聞けば、神社での苔玉教室は初開催だそう。教室について森さんに尋ねたところ、意外なお話をうかがうことができました。
こちらが苔玉教室を企画された森さん。
作業中もみなさんの様子を見ながらまめに声掛けしたり、ユーモアを交えながら雰囲気作りをしてくださるなど、お話ししやすくて、とても明るい方!
森さんは、六角橋自治連合会の会長を務めたり、地域と学生が共に街づくりを行う「まち×学生プロジェクト」を立ち上げるなど長年、地域活動に尽力をされている、まさに六角橋の街づくりの立役者。
「神社に足を運ぶ機会を作ろうと思ってね。なかなか神社に目を向けてもらう機会ってないじゃない?」と森さん。
「こういう企画をやることで、神社に関心をもってもらえたり、目を向けてもらえるようになる。地域の手を借りながら、代々守ってきたものを、後世まで引き継いでいけるようにしていきたい」森さんはそう語ります。
もともと石井造園さんとは、神社のご神木の管理をお願いしている縁があり、お2人は地域の活性化や街づくりについて話をする仲。
神社に足を運ぶ機会を作りたい森さんに対して、石井社長から「うち、こんなイベントできますよ!」と声をかけてもらったことがきっかけで、今回の苔玉教室が実現したそうです。
地域のことを大切に想うお2人の熱い気持ちから、このステキな企画が生まれたというわけなんです。
一方で課題に感じることもあるそうで
「広報の仕方は難しいよね。若い人だと掲示板はあんまり見ないでしょ?自治会のHPはあるけど、たいていの人はそこまで見に行かないし…」と発信の方法に課題を抱えていることも話してくださいました。
「定期的な活動にして、認知してもらえるようにしていかなきゃなぁ!」と。
課題を通して、既に「次」を見据えている森さん。そんな前向きな姿勢に、若輩者の私はただただ敬服するばかり。
「こんなにも地域のために熱く行動できる人はいない」石井社長は森さんのことをそう語ります。
それは森さんのお話の端々から、そして実際の活動内容を見れば、一目瞭然!
「こういう大人のおかげで『街が活きている』んだ」そう実感しました。
「自分たちの街のために、できることを1つずつ」そんな森さんの熱い想いを受け取り、いつしか「私にも何かできるだろうか?」そんなことをぼんやり考えるようになっていました。
「自分たちの住む街は好きだけど、じゃあ、地域のために何をしたらいいんだろう?」
私と同じような方も多いはず…。自分たちの住む街を大切にしたい、子どもたちが住む街をよりよく残していきたいと想う気持ちは、世代を越え、きっと誰しも持っているはず…。
私は森さんが立ち上げた「まちかけ」のメンバーに参加させていただくことにしました!
微力ながら、一緒に歩みを進めてみようと思います。松ぼっくり教室を縁にステキな出会いが繋がったことを、うれしく思っています。
森さんは「若い方も、頼むよ!」とにっこり。
森さんから感じるのは、「自分たちの街のために、できることを!」という熱意、行動力、そして周りの方に協力をお願いする「巻き込み力」。
一緒にやっていこうという森さんのスタイルが、より多くの世代の心を動かすのかもしれません。
家庭や会社・学校…それ以外の「地域」というコミュニティを持つことは、おもしろい!
いろんな経験や学びがあり、自分も、一緒にいる人にも成長の機会があるということを、今回の体験で学ぶことができました。
みなさんも自分が住まう街へ1歩、足を踏み出して関わってみませんか?地元がますます好きになること間違いなし!
新たな発見や出会いが、人生を豊かにしてくれるかもしれませんよ!
●六角橋杉山大神氏子総代会
住所:神奈川県横浜市神奈川区六角橋2-31-23
アクセス:
東急東横線「白楽駅」から徒歩15分
横浜市営地下鉄ブルーライン「岸根公園」から徒歩15分
開催日:掲示板でお知らせ(次は春に盆栽教室を開催予定)
電話番号:045-491-7201
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。