【白楽】食べる手が止まらない!世代を越え、愛され続ける手焼きせんべい屋「川美せんべい本舗」

あったかい人情が残る街・白楽。そんな白楽に地元民がこよなく愛す、おせんべい屋さんがあるのをご存じでしょうか。

職人技光るおいしさと、あたたかい接客が魅力のステキなお店。今回は「川美せんべい本舗」をご紹介します!

誰もが知る「白楽の銘菓」

白楽駅から徒歩約8分。神奈川大学を目指してくると分かりやすいです。

お店は奥路地にありますが、看板やのぼり旗が目に入るので、すぐに見つかるはず!地元民の誰もが知る老舗であり、遠方からもお客さんが足を運ぶ名店です。

創業71年。その歴史と趣を感じる外観が印象的です。

店内にはさまざまな種類のおせんべいがズラリ!

店頭ではこだわりの手焼せんべいを1枚ずつ購入できる他

おせんべいやあられの大袋

贈答用の詰め合わせなども販売されています。

店頭から郵送対応も可能。ちなみに決済は現金のみとなります。

「おせんべいと言えば、川美せんべい!」地元民から絶大な人気を誇る川美せんべい。我が家では祖父の代からひ孫まで4世代にわたって、川美せんべいの大ファン!

幼い頃から川美せんべいをおやつに育ち、今では自分の子どもも一緒に食べています。それくらい大好きなおせんべい屋さんであり、私にとっては人生を共にしてきた、特別なお店。同じ思いの地元民も多いのではないでしょうか。

川美せんべいの魅力

では、お店の魅力をご紹介していきましょう♪

これぞ職人技!食べたら止まらない手焼きせんべい!

川美せんべいの魅力は、なんといっても「おいしさ」。一度ここのおせんべいを食べると、もう他のものには戻れません(笑)。

食べた時の歯触りと味わいが別格!機械で大量生産されるおせんべいとは、ひと味もふた味も違います。

手焼きせんべいと聞くと、ガチガチの硬いおせんべいをイメージされる方が多いようですが、川美せんべいは全くの別物。

硬すぎず、柔らかすぎない絶妙な歯触りが特徴。小さな子どもからお年寄りまで幅広い世代の方がおいしく食べられる食感に仕上げられています。

そのため、食べ出したらもう止まらない!1人食べ始めると「私も~」と便乗する人が増え、気がついたら一袋空いている…なんてこともしばしば(笑)。

「おせんべい屋さんの手焼きせんべいはやっぱりすごい!」そんなことを実感させてくれるおいしさであり、長年お客さんが通い続けるのも納得!なおいしさなんです。

お気に入りに出会える!種類豊富な味わいが魅力

川美せんべいの醍醐味とも言えるのが、種類の豊富さ。おせんべいと聞いてみんながイメージする定番の味わいから、ちょっとした変わり種まで、約50~60種類のおせんべいが並びます。

さまざまな味わい・サイズがあるため、気分や用途にあわせて選べる点が魅力。

しかも、どれを選んでもおいしいので「あれもこれも食べたい!こっちはおやつに、こっちはお酒のおつまみに♪」と選んでいると、あっという間に両手がいっぱいになります(笑)。

選ぶ楽しさがあり、「これだ!」と思うおせんべいに出会えるのも、川美せんべいの魅力です。

また訪れたくなるあったかい接客

川美せんべいが地域の方々から愛されているのには、おいしさ以外にも理由があります。それが人情味あふれる接客です。

「お客様と話す笑い声が工場まで聞こえてくるんだよね」そう石川社長がお話しされるくらい、みなさん明るくて、朗らか!

お客さんの様子を見ていても「立ち話も楽しみにしていました!」そんな様子がうかがえます。なかには、「推し店員さん」を持つお客さんもいるほど(笑)。

おせんべいを買いにいくとなんだか元気までもらえる、街に自分のことを気にかけてくれるお店があるっていいなぁ…そんなことを自然と思う「あったかさ」が川美せんべいにはあります。

お客さんが「また来よう!」と思う接客も、川美せんべいの魅力です。

川美せんべいができるまで

川美せんべいはすべて手作り。店舗横の工場で合わせ網を使い、電熱石釜の中で包み込むように焼き上げて作られています。

1日1000枚ものおせんべいを御年70歳の石川社長が焼き、職人さん4名と毎日心を込めて丁寧に作っています。

こちらが社長の石川さん。明るくてハツラツ!取材にも快く応じてくださり、ときには冗談を交えながら、楽しくお話ししてくださるような優しくて懐が深い社長さんです。

にこやかに映る写真からもお人柄が伝わりますよね!

石川さんのご厚意で、工場を見学させていただきました!

①せんべいの生地をあたためる

まずはこちらの機械にせんべいの生地を入れ、あたためていきます。せんべい作りで特に大事なのが、この「あたためる」工程。

「せんべいの生地をあたためる作業がないと、芯があったり、硬くて噛めなかったり、焦げたせんべいになってしまいます。あたためることで生地の水分を均一にし、ふくらみやすくしています」

70度くらいで1時間~2時間ほどあたためるそうです。

②せんべいを焼く

こちらの合わせ網にせんべいを乗せ、焼きます。

なんと網だけで2kg!私も持たせていただきましたが、想像以上の重さ!

これに36枚分のおせんべいを乗せ、1日に何100回も出し入れしながら焼いているのかと思うと、本当に頭が下がります。

「窯の温度や生地の状態は均一ではありません。季節や天気、生地の水分量や粉の挽き方、その年のお米の品質で、火の入れ方が変わります」

「毎日変化する火のあがり方、せんべいが自然と焼ける『適正なタイミング』を見極めて、手早く丁寧に返す必要があります。このあんばいが手焼きせんべいの大変さですね」と教えてくださいました。

「せんべいは生き物だから」そうインタビューに答えてくださった石川さん。大量生産で画一的に作られる機械焼きには、とうてい真似できない「匠の技」がおいしさを生み出しているのです。

「せんべいを焼くときに大切にしていることは、体調です。手作りで作りますから、その日の体調が品物にあらわれてくるんです」と石川さん。

それほど繊細な仕事であり、せんべい作りには作り手の「人があらわれる」ということ。ものづくりの真髄とは、こういうところに出るのだろうと感じました。

③醤油づけ

焼き上がったせんべいに秘伝の醤油を塗り、商品ごとにザラメや海苔・コブなどをつけます。

④乾燥、袋詰め

せんべいを網にならべ、ひっくり返しながら乾燥。最後に袋詰めをおこない、店頭へ!

川美せんべいのおいしさの秘訣

こうして1枚のせんべいができるまでには、大変な手間と、丁寧な手仕事がおこなわれています。おいしさの理由がよく分かりますよね!

「今でも『よく焼けた!』と思う日で90点くらい。45年焼いてきても『あ~、あと1秒早く出せば…(泣)』ってなる日もいまだにあります。100%の日ってのは、ないんです。まだまだ半人前!一人前の途中かな(笑)」そう茶目っ気たっぷりの笑顔で語る石川さん。

「お客様においしいと喜んでいただけるせんべいをお届けしたい」そう自分に厳しく向き合い続け、気持ちを込めて焼くからこそ、あの唯一無二のおいしさが生み出せるのだと感じます。

川美せんべいのおいしさの秘訣は、そんな石川さんのもの作りの姿勢にこそあるのではないでしょうか。

川美せんべいのなりたち

川美せんべいのオープンは1954年。先代の節雄さん(石川さんのお父様)と恵美子さん(石川さんのお母様)でお店をオープンしたのがはじまりです。

店名の由来は石川の「川」と恵美子さんの「美」をあわせて、川美せんべいと名付けたそうです。創業者お2人の想いがこもったステキな店名です。

創業当初は孝道山のふもとにお店を構えていたそうですが、石川さんが生まれる頃に六角橋へ移転。当時は製造工場としてスタートし、店舗はあとから併設したそうです。

先代の後を継ぐ前は、金融系の仕事に就いていた石川さん。後を継いだのは、突然のことだったと言います。

「父が胃潰瘍で急遽入院することになってしまったんです。それで『お前、継ぐか?』という話になり、母の実家のせんべい屋から祖父が始発に乗ってせんべいの焼き方を教えに来てくれました。当初はもう半泣き状態。でも、一生懸命やるしかない!と覚悟を決めました」

せんべい作りを支えてきたもの

こうして、意外な形で代替わりを迎えた石川さん。大変なご苦労もありましたが、せんべい作りを支えてきたものがありました。

「1番はお客様の声です。お客様が喜んでくださることが大きな支えであり、やりがいにもつながっています。こんな路地奥のお店に足を運んでくださっているので、おいしいせんべいを作り、その感謝の気持ちをお届けしたい。健康に気を配り、1日でも長くせんべいを焼き続けたいと思っています」

「そして、もう1つの支えは、パートさんの存在です。せんべい作りは1人ではできません。みなさんの協力があるからこそ、長く続けることができました。お客様も働く人も、人と人とのかかわり合いを大切に続けてきました」と笑顔の石川さん。

インタビューを通して感じたのは、川美せんべいには「真心」が見えるということ。

先代がせんべいを焼く石川さんの姿を見て「丁寧だ」と評したように、せんべい作りにも、お店作りにも「人を大切に想う真心や丁寧さ」が込められている。

せんべいのその先にいる「人」を想う気持ちがおいしさになり、食べた人に伝わる。そうやって心を動かされたお客さんは「川美せんべいがこの街にあってよかった」と、「記憶に残るお店」になる。

そういうおせんべいを作り続けているからこそ、これだけ長く地域の人々に愛されているのだと感じました。

縁を紡ぐおせんべい

客足が絶えない川美せんべい。お店には常連さん、小さくてかわいらしいお客さん、神奈川大学の学生さん、先方への手土産を購入しに来たサラリーマンなど年齢性別問わず、さまざまな方が足を運びます。特に土曜日はひっきりなし!

「お客様のなかには何十年も通う常連さんが多くいます。また、神奈川大学の学生さんが帰省時に実家の親御さんへ手土産として購入したり、学生時代の思い出の味として買いにきてくれる子もいます。駅伝の合宿や、山岳部ではヒマラヤ山脈の登頂で当店のせんべいを食べていたことも」

そう、うれしそうにお話しされる姿がとても印象に残りました。

地域と共に歩み、人と人との関わりを大切にしてきたお店だからこそ、そこに暮らす人とのご縁や思い出がたくさんある。そして、それはお客さんにも同じことが言えます。

子どもの頃にみんなで楽しく食べたおやつの味だったり、小中学校で緊張しながら取り組んだ工場・職業体験の思い出の味だったり、結婚のあいさつの手土産に持参した忘れられない味だったり、プレゼントした友人がお店を訪れるくらい感動した味だったり、そして、毎日自分の子どもたちと食べるお気に入りの味だったり…。

川美せんべいは、日常にふと溶け込むような身近な存在でありながら、気が付けば街の人たちの記憶やご縁を紡ぐ「欠かせない存在」になっているー長く愛されるお店とはそういうお店なのだと感じます。

川美せんべいは街の人が「おせんべいは、ここのでなくちゃ!」そう太鼓判を押すお店。

毎日のおやつから、大切な人への贈りものまで。年齢や性別問わず、食べた人の「おいしい!」という笑顔を確約できるおせんべい屋さんです。

お店を訪れれば、「また食べたい!」と思う忘れられない味と、「また来よう」と思う元気をいただけます。

有限会社川美せんべい本舗
住所:横浜市神奈川区六角橋2-3-3
アクセス:
東急東横線「白楽駅」から徒歩約8分
営業時間:
10:00-16:00(火~土曜日)
定休日:日・月曜日、祝日
※営業日は公式HPにてお知らせしています
電話番号:045-491-1071
公式HP:https://kawamisenbei.jp/

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。