港北区に暮らしてもうすぐ6年になりますが、まだ知らないお店がたくさんあります。
ある晴れた日の午後、あまりに気持ちがよくて散歩をしていたら、また1つすてきなお店を発見しました。これまで何度も通ったことのある道なのに、お店の存在に全然気が付かなかったのです。心をゆるめてのんびり歩く、がすてきなお店発掘の基本だなあ、と思いました。
そんなゆるんだ気持ちを、さらにくつろがせてくれるのが、今回ご紹介する「cafe bamboo(カフェ・バンブー)」さんです。
エルム商店街をまっすぐ進んだ先にあるカフェ
お店は、東急東横線大倉山駅から徒歩約13分のところにあります。改札を出たら右に進み、エルム商店街をずっとまっすぐ歩いていきます。本当にこのまま歩いていってよいのかしら、と思い始めるころ、左側にコンビニ(セブンイレブン)とお米屋さんが見えたら、先の十字路の左側の角に、お店があります。
お店の入口は、同じ建物の1階にある化粧品屋「すみれ」と一緒です。右側が「すみれ」さん、左側が「cafe bamboo」さんです。
お店の前に看板があります。ホットサンドやそば粉のガレット、パスタなど、写真つきでとてもおいしそうです。散歩の休憩がてらランチをいただくことにします。
ガラスの扉を開けると「いらっしゃいませ!」と、女性の声がしました。カフェ利用をしたい旨を伝えると、奥へ案内してくださいました。
カフェにはカウンター席が4つ、テーブル席が2つあります。思ったより広く、グループで来ても利用できそうです。カウンターの奥に厨房があります。ナチュラルな木と白を基調にしていて、清潔感があります。天井からつるされた星型のオーナメントがかわいいです。
マスターがやってきて「いらっしゃいませ!」と声をかけていただきました。お昼とお茶時間のちょうど間で、お客様は私ひとりです。カウンターが広めで心地よさそうなので、座ってメニューを選ぶことにします。
中国茶に自家焙煎コーヒー、自家製チャイも。メニューいろいろ
メニューを開いておどろいたのは、その種類の多さです。自家焙煎コーヒーはオリジナルブレンド、カフェインレスやエスプレッソビバレッジもあります。中国茶は烏龍茶から中国紅茶、花茶など。これからの時期にホットがおいしいマサラチャイもあります。
外の看板に書いてあったそば粉のガレットです。これはおいしそう!
ホットサンドは自家製食パンで作ると書いてあります。スイーツもしっかりあります。これだけメニューが豊富なら、食べたい飲みたいものがすぐ見つかりそうですね。
この日は中国茶とそば粉のガレットをいただくことにしました。注文をし、しばし待ちます。
カウンターの上を見ると、たくさんの本があります。個人の方が営むカフェでは、置かれている本にマスターの関心が色濃くでます。コーヒー、中国茶、カレー、燻製、シルクロード、小説…かなり分野が広いです。いろんなことを知っていそうなマスターとお話したくなりました。
ハンドメイドらしき動物のペーパークラフトもあります。ますます興味が惹かれます。
生ハムとカマンベールがおいしい!カリッと香ばしいガレット
注文したそば粉のガレットがやってきました。おいしそうです。
大きなそば粉のクレープの上に半熟フルフルの目玉焼きが包まれ、生ハムがのっています。鮮やかなグリーンのケールのサラダが添えられています。
クレープは外側がカリッと香ばしく、内側はもっちりしています。ひと口いただくと、モッツァレラチーズのコクと卵のトロトロ、生ハムの塩気が合わさって、とてもおいしいです。
中国茶は八宝茶を選びました。ポットでサービスされるのでたっぷり飲めるのもうれしいです。
8種類の漢方のほか、なつめやクコの実などが入っていて、女性にうれしいブレンドになっています。氷砂糖が入っているのでほんのり甘く、なつめの香りが際立ちます。
マスターの関口さんにお話をうかがいました。ご自宅兼化粧品屋さんだった場所に7年前にこのお店を開いたそうです。「コーヒーの焙煎はこの建物の屋上でやっています。小型の焙煎機を複数機使って、オリジナルブレンドを作っています」とおっしゃいます。このお店の上で焙煎をしているとは、驚きです。
「自分で何でも作れないかと、いろいろ研究しています。ホットサンドに使っているのは、自分で毎日焼いている角食パンです。最初は既製品のハムを使っていたのですが、今は自分で作ったものを使っています」とのこと。「中国茶もいろいろ勉強して提供するようになりました。最近はスパイスカレーに興味を持って、つい先日から提供をはじめたところなんですよ」と関口さんは言います。ふと見ると、目の前にある本日のランチにスパイスカレープレートとあります。
カウンターの本のほか、壁際のラックにもたくさんの大型本があります。化粧品屋さんを営む奥様が好きな本と、関口さんの好きな本の両方を置いているそうです。「ファッションやアート系の本は奥さんの本、音楽や楽譜は私の本です」と、関口さんは言います。奥様とご自身の好きなものを一緒においておくなんて、とてもすてきですね。
カウンターの上にもLP盤のレコードがあります。あれ、関口孝というのは、もしかして…。
「僕の40年前の作品です」と関口さん。1984年に自宅で自主制作した作品に、80〜90年代にかけて映画音楽のために制作された作品を加えて、一昨年前に初LP化されたのだそうです。マスターはミュージシャンでもあった、ということにまた驚きです。お店の名前「バンブー」もこの作品からとったものだそうです。
後日、YouTube上にアップされている関口さんの音楽を聴くと、透明感あふれる、ガラスの響きのような美しい韻律が心地よいものでした。
「なんでも凝り性なんです。面白いと思うと研究に熱が入るんです」と関口さんは言います。確かに、コーヒーも中国茶もガレットも、すべて関口さんの豊かな好奇心と研究熱心な人柄が生んだおいしさです。
ソフトで親しみやすい関口さんの、深くて広い研究がいっぱい詰まっている、すてきなお店です。
大倉山にいらしたら、ぜひ立ち寄ってみてくださいね!
cafe bamboo(カフェ・バンブー)
住所:神奈川県横浜市港北区大倉山5丁目36−13
TEL:045-544-5124
アクセス:東急東横線「大倉山駅」から徒歩約13分
営業時間:11:00-19:30
定休日:月曜日