横浜・元町の代官坂の入口周辺には、個性豊かなお店が数多くあります。なかでも
「香炉庵」は、和の伝統に洋風のエッセンスを加えた、ひと味違う和菓子に出会えるお店です。
横浜開港以後、外国人居留地だった元町や山手は、洋食店や洋菓子店などが多く点在するエリア。洋風があふれるエリアで、「香炉庵」は創作の和菓子を発信し続けています。
今回は、そんな「香炉庵 元町本店」のお店の魅力やおすすめの和菓子を紹介します!
新しい和菓子のかたちを提供する「香炉庵」

みなとみらい線の元町・中華街駅から徒歩約3分。香炉庵 元町本店は、元町ショッピングストリートから1本奥に入った、元町仲通りの一角にあります。

香炉庵は2004年に創業。「和菓子」というと江戸時代や明治時代に創業し、老舗で代々続けられているといったイメージが強いですが、香炉庵は比較的若い和菓子屋さん。

伝統的な和菓子に、横浜・元町の洋風の雰囲気や要素を加えた今までにない新しい和菓子をつくりたいとの思いで始められたそうです。従来の和菓子ではあまり見かけなかった色味や見た目のかわいらしさにこだわった商品を展開。

元町本店でスタートし、約20年間で東京駅のグランスタ東京やそごう横浜、新横浜駅など、よく知られた駅ビルやデパートに直営店を出店。さらに横浜の観光スポットのお土産屋さんでも見かける、横浜を代表する和菓子店のひとつとなりました。

お店はビルの1階。和菓子屋さんの雰囲気を残しつつ、和と洋がミックスされた明るく、落ち着いた雰囲気の内装。広々とした店内には、香炉庵のお菓子が美しくディスプレイされています。

また、店内から製造工程が見られるよう、工房をオープンにしています。その理由を香炉庵の営業部長・齋藤雅也さんに教えていただきました。

「従来の和菓子屋さんは、のれんの奥でお菓子を作っている印象が強いですよね。一方、洋菓子のケーキ屋さんは工房が見えるお店も多い。和菓子の持つ伝統的なイメージを変えたいと工房を外から見えるようにしました。作り手の姿を見せることで、より安心感が得られると思います。お店に親御さんといっしょにやってきたお子さんのなかには、工房にかじりつきで見ている子もいますよ」
こういった点からも香炉庵が革新的な和菓子店であることがうかがえますね。
伝統と横浜のエッセンスが融合した魅力的な和菓子

香炉庵の代名詞といえば、「黒糖どらやき」と6種類の味が楽しめる最中「花元町」。
神奈川県の「神奈川県菓子コンクール」観光みやげ品の部で最優秀賞、技術賞などの賞を受賞した「船もなか」など、定番のものが多くあります。

古き良き和菓子の伝統を守りつつも、横浜らしい遊び心を取り入れた独創的な商品。見た目のかわいらしさに惹かれますが、お客様に安心して食べていただけるよう、和菓子の命でもある「あんこ」などの材料や製造工程にもこだわっているとのこと。

特に「黒糖どらやき」は沖縄県産の上質な黒糖を使用。なかのあんには小豆のなかでも希少品の「しゅまり小豆」をじっくり炊き上げ、上品な甘さと味わいが楽しめるようになっているそうです。

また、定番のものだけでなく、季節限定品として「季節のどらやき」や「フィナンシェ」。夏場は、香炉庵がこだわった「あんプリン」や神奈川県産の「湘南ゴールドゼリー」なども販売しています。

取材にうかがった時期は3月だったので、「季節のどらやき」は桜餅味、フィナンシェはいちご味が販売されていました。その季節の旬のものを楽しめるように、期間限定品にも力を入れているそう。

和菓子ではめずらしいポップな色味感のある「花元町」、フィナンシェなどは洋菓子の要素も感じられる逸品。伝統を継承しつつ、新しいことにチャレンジしている和菓子屋さんであることがおわかりいただけるでしょう。

また、オリジナルの焼き印付の和菓子なども対応可能とのこと。結婚式や学校・会社などのお祝い用としても喜ばれているそうです。さらに香炉庵の和菓子は1個から購入できるものもあります。商品も豊富なので、手土産としてだけでなく、自分へのちょっとしたご褒美にもよいですよ。
定番のおすすめ、「黒糖どらやき」と「船もなか」をいただきました!

香炉庵のおすすめの和菓子をいただいてみました。季節限定品にも惹かれましたが、まずは定番品をいただきます。
今回はお店自慢。香炉庵といえばこれ!の「黒糖どらやき」。

どらやきの皮がしっとりとしてフワフワでやわらかく、一部のファンの方には「飲めるどらやき」と評価されているそう。
触った感じは本当にフワフワでやわらかいです。袋を開ける際に勢い余って皮に当たったら、傷が入ってしまうほどのやわらかさ。

食べてみると甘さ控えめでおいしい!皮から黒糖の風味を感じます。なかのあんこは粒あん。小豆の粒が少し残っているので、食感の違いが楽しめますよ。

黒糖を使用した風味豊かな皮となかのあんこの上品な甘さが際立ちます。皮が本当にフワフワでやわらかく、口どけのよさに驚きました。「飲めるどらやき」という方がいらっしゃるのもわかります。

フワフワでやわらかい皮が軽い食感なのと控えめな甘さのあんこ。何個でもいけそうなどらやきはリピーターが多いのも頷けます。
続いて、パッケージから気分があがる!横浜感があふれる「船もなか」。

船をイメージしたかわいらしい形が特徴の「船もなか」。お菓子にしては、立体的な仕様になっています。立ち上がった状態でも置けるので、子どもたちにも喜ばれているそうです。大きさは一口サイズなので、食べやすそうな形状。

袋をあけると最中の香ばしい香りがふわっと広がります。サクッとした最中、こしあんに求肥が包まれています。

最中、あんこの甘さがほどよく、求肥のもっちりとした食感が味わい深く、食感の違いも楽しめる一品です。ひとつ買って、食べ歩き用にしてもよし。お土産としても喜ばれること間違いなし!

また、店頭にはみたらし団子もかわいらしいパッケージで販売されていました。こちらのみたらし団子は元町本店限定品。まさに食べ歩き用にぴったりのサイズ感!
今度はみたらし団子も食べてみたいです。
和菓子のおいしさと可能性を伝えたい

2004年に創業し、横浜の代表的な和菓子として地元民だけでなく、観光客の方にも愛される香炉庵。和の伝統を継承しながらも、洋風の要素を取り入れ革新的な和菓子を展開してきました。

香炉庵の営業部長・齋藤雅也さんは、和菓子の魅力をこんな風に語ってくれました。
「和菓子はヘルシーなおやつとしておすすめしています。たとえば、あんこの原材料の小豆は体にやさしい成分が多く、食物アレルギーが少ないため、アレルギーを気にされる方にもお祝いやギフトとして選ばれる方が多いです。和菓子には文化的な背景とともに、可能性があることをもっと知ってほしいですね」

香炉庵で「クリエイター」と言われる和菓子職人さんの平均年齢は30歳。和菓子職人のなかでも若手の方が作っています。新しい感覚で和菓子業界を盛り上げ、あんこファンを増やしていきたいと語る齋藤さん。

香炉庵の「黒糖どらやき」や「船もなか」などの和菓子を食べたことがない方、これまでおいしいあんこに出会ったことがない方に食べていただきたいです!
横浜・元町に来られた際は、香炉庵・元町本店にぜひ立ち寄ってみてくださいね。
香炉庵 元町本店
住所:神奈川県横浜市中区元町1-40
電話番号:045-663-8866
アクセス:みなとみらい線「元町・中華街駅」から徒歩約3分
JR根岸・京浜東北線「石川町駅」から徒歩約10分
営業時間:9:30-18:00
店休日:不定休
ホームページ:https://kouro-an.jp/
Instagram アカウント:@motomachi_kouroan
※価格・定休日は2025年3月取材時のものです。定休日、営業時間、販売されている商品や価格は変更となる場合がありますので、最新の情報は公式サイトやSNS等をご確認ください。